30代は仕事や家庭で忙しく、健康管理を後回しにしがちです。健康診断で「脂肪肝」と言われても、自覚症状がなく放置することも多いと思います。
脂肪肝を放置すると脂肪肝炎→肝硬変→肝がんへと進行するリスクがあります。しかし、脂肪肝は対策をすれば、肝臓の脂肪化が改善すると報告されています。
改善策として、
- 体重管理
- 食生活の見直し
- 運動習慣
- 飲酒のコントロール
が大事になってきます。
この記事では、働き盛りの時間がない方に向けて脂肪肝の原因・検査・対策をわかりやすく解説します。
脂肪肝とは?
肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態(肝細胞の5%以上が脂肪化)
脂肪肝の原因は大きく2つあります。
- アルコール性脂肪肝
- 非アルコール性脂肪肝
それぞれ解説します。
アルコール性脂肪肝

飲酒が原因で発生する脂肪肝。
進行すると肝硬変や肝がんのリスクが上昇します。
自覚症状はほとんどなく、進行すると全身倦怠感、食欲不振、腹部の張りなどが目立ってきます。肝硬変には黄疸、むくみ、腹水などが合併。
目安:男性は1日30g以上、女性は1日20g以上のアルコール摂取が該当。(女性は男性の2/3程度の量)
実際の量は以下の通りですが、この量を超えていなくても肝硬変へ進行する可能性もあります。
- ビール大瓶1本強(750mL)
- 日本酒1合半
- ワイン グラス2杯半
- ウイスキー ダブル1杯半
日常生活からアルコール量は気をつけたいです。
特に最近はやりのストロング缶は注意が必要。
非アルコール性脂肪肝

運動不足や高カロリー食が原因でおこる脂肪肝です。
非アルコール性脂肪性肝疾患とも言われており、アルコールを除いたメタボリックシンドローム(肥満)、脂質異常症、高血圧などが関係しています。
進行すると脂肪肝炎→肝硬変→肝がんへと悪化する可能性があります。
初期の自覚症状はほとんどなく、肝硬変までなると黄疸、むくみ、腹水などの症状が出します。
近年では脂肪肝による肝硬変が増加傾向であり、注意しなければなりません。

Enomoto H, et al. J Gastroenterol 2020より引用および一部改変
脂肪肝の検査方法
脂肪肝の検査方法には大きく、血液検査と画像検査(エコー)があります。
① 血液検査
脂肪肝の代表的な検査項目は以下の通りです。
検査項目 | 基準値 | 備考 |
AST(GOT) | 10~40 U/L | 40以上で異常 |
ALT(GPT) | 5~45 U/L | 45以上で異常(例外あり) |
γ-GTP | 10~50 U/L | 50以上でアルコール性の可能性 |
中性脂肪 | 30~150 mg/dL | 150以上で異常 |
総コレステロール | 140~199 mg/dL | 199以上で異常 |
検査値の解釈
- ALTがASTより高い場合、脂肪肝の可能性が高い。
- ALTが30以上であれば、かかりつけ医を受診する。これはテレビでもトピックになった奈良宣言2023で示された数値です。
肝疾患の早期発見・早期治療のためALTが30を超えていた場合、かかりつけ医の受診を推奨
①ALT>30→②かかりつけ医を受診→③必要に応じて専門科(消化器内科)での詳しい検査
- γ-GTPのみが高い場合、アルコール性脂肪肝が疑われる。γ-GTPはアルコールの代謝と関係しているため。
- 中性脂肪や総コレステロールは肥満や生活習慣病が隠れている可能性がある。
② 画像検査(エコー)
血液検査で異常があれば、エコー検査で脂肪肝の程度を詳しく調べます。
エコー検査は簡便で安全な診断方法です。
脂肪肝の特徴:

- 高輝度肝(肝臓が白くなっている)
- 肝腎コントラスト(肝臓は通常白くないため、黒い腎臓との比較で白くなれば陽性)
- 深部減衰(下の方が黒くなっている)
- 脈管不明瞭化(黒い血管がみえにくくなっている)
2021年には、脂肪の程度を数値化する「超音波減衰法」が保険収載され、ごく軽度の脂肪肝診断にも有用となっています。
全国多くの病院で研究されており、今まさに最新のツールです。最近では地域の中核病院では実施されるようになっています。

30代で脂肪肝になる原因
① 食生活の乱れ
- 高カロリー食(ラーメン、甘味飲料、揚げ物など)
- 夜遅い食事や過食
② 運動不足
- デスクワーク中心の生活で消費カロリーが少ない
- 忙しくて運動習慣がない
③ 飲酒習慣
- 接待やストレス解消のために飲酒量が増加
- ビールや日本酒など糖質の多いお酒を頻繁に摂取
今日からできる!脂肪肝改善のための対策
誰でも簡単にできる脂肪肝改善の対策としては、以下の4点です。
① 体重管理
- BMI(体重(kg) ÷ 身長(m)²)が25以上になっていないか確認。
- 肥満の減量目標:体重の7%減少。
- ウエスト周囲径:男性85cm以上、女性90cm以上に注意。
② 食生活の改善
- 3食バランスよく食べる。
- カロリー制限を目指す。(特に炭水化物や脂質の制限)
- 清涼飲料水を控える。
- 食物繊維・ビタミンEを含む食品(青魚、緑黄色野菜、発酵食品など)を多めに摂取。
- 夕食は寝る3~4時間前までに済ませる。
③ 適度な運動
- 有酸素運動(週3~4回、30分以上)
- ウォーキング(1日1万歩)
- ジョギング
- スイミング
- 楽しくできるYouTubeの脂肪燃焼ダンスもおすすめ
④ 飲酒のコントロール
- 週2回以上の休肝日を設ける。
- 糖質の少ないハイボールや焼酎を選ぶ。
まとめ
30代の男性は多忙で、健康診断で「脂肪肝」と言われても放置しがちです。
しかし、脂肪肝を放置すると肝硬変や肝がんのリスクが高まります。
診断には血液検査(ALT・AST・γ-GTPなど)や超音波検査が有用です。
改善策として、
- 体重管理(BMI25以上の人は7%の減量を目標に)
- 食生活の見直し(カロリー制限、食物繊維・ビタミンEの摂取)
- 運動習慣(ウォーキングやダンスを週3~4回、30分以上)
- 飲酒のコントロール(休肝日を設ける)
脂肪肝は生活習慣の改善で予防・改善できますが、実施は自己責任でお願いします。
効果には個人差があり、結果についての責任は負いかねます。
気になる症状がある場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
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